楽天証券株式会社様導入事例

異なるアーキテクチャにまたがる一元監視をZabbixで実現
高いサービスレベルを強みにする楽天証券

Objective

停止時間を極限までなくしていくことでサービスレベルを向上させる

障害が起こっているのかいないのか、起こっているとしたらどこに起こっているのか、それを回避する代替手段が何なのかを把握する

Requirements

全く異なるプラットフォームにまたがって、同一の仕組みでコストパフォーマンス良く運用監視を行いたい

Resource monitoring, error monitoring, and bottleneck monitoring.

Approach

サーバー間のネットワークを多重化し、かつその多重度を変更できるしくみとともにZabbixを導入し、データベースに負荷が高まった際に即座に拡張

Outcome

異なるプラットフォームの1,000台以上の機器を統合的に監視

システムの負荷が高まった際に即座に対応することが可能に

Zabbixで収集したデータが経営会議の判断材料にも活用

「とにかくサービスを止めない」ことを目標に

常務執行役員
情報システム本部長
平山 忍 氏

2014年9月末時点で174万を超える顧客が利用する大手インターネット専業証券、楽天証券。楽天市場でのショッピングにも使えるポイントプログラムの導入など、楽天グループの一員としての強みを活かしたサービスや商品を提供している。

オンライン証券サービスにおいて、サービスレベルの確保は至上命題だ。ログインに支障が生じたり、売り買いの注文ができなかったりといった事態が生じれば、顧客は多大な損失を被ることになる。

「安定性と商品の品揃えに加え、サービスレベルの向上という三点で差別化を図っていきたいと考えています。停止時間を極限までなくしていくという方向を突き詰めていけば、対面販売に勝てる時がきっと来るだろうと思っています」(楽天証券 常務執行役員 情報システム本部長 平山忍氏)と言う。

サービスレベルの向上を実現するには、システムの稼働状況を把握することが大前提だ。その監視ツールとして同社が採用しているのがZabbixである。「システムに障害が起こることを想定した上で、障害が起こっているのかいないのか、起こっているとしたらどこに起こっているのか、それを回避する代替手段が何なのかを把握できるようにすることが大事だと考えています」と平山氏は述べる。

マルチアーキテクチャ、マルチプラットフォーム対応が採用のポイント

インターネット専業証券会社の草分け的存在である楽天証券は、ブロードバンドが広く普及する前からサービスを提供してきた。だが、それゆえの課題も抱えていた。市場のニーズに合わせて段階的にサービスを拡張してきた結果、提供するサービスごとに異なるプラットフォーム、異なるアーキテクチャが採用されるという歴史的経緯があったのだ。

最も古くから運用されてきたのが、いわゆる株式や投資信託、債券など有価証券を取り扱うプラットフォームで、ハードウェアも、ミドルウェアやデータベースを含むソフトウェアも全てオラクル製品で構築されている。次に、2013年から稼働を開始したFX向けシステムがあり、これはIBM製品をベースとしたものだ。さらに、2014年7月にはインターネット専業の商品先物取引を提供していた子会社、ドットコモディティを吸収合併したが、そのシステムはマイクロソフト製品で構成されていた。

もちろん、プラットフォームごとに専用の監視用ソフトウェアは提供されているが、相応のコストがかかる上に、別のプラットフォームには手も足も出ない。これら全く異なるプラットフォームにまたがって、同一の仕組みでコストパフォーマンス良く運用監視を行いたい——それが楽天証券がZabbixを採用した大きな理由だ。

「プラットフォームごと、アーキテクチャごとに別々に運用監視を行うのは非効率。プラットフォームが違っていても、同じソフトウェア、同じインターフェイス、同じ基準で監視ができることが採用の大きな理由です」と平山氏は説明する。

ボトルネックは拡張性を持たせたデータベースに集中

楽天証券ではZabbixを用い、Webやスマートフォンなどにデータを配信するチャネルサーバや取引所との間で処理を行う株式注文執行サーバー、それらの背後で処理を行うミドルウェア、バックエンドサーバーなど、プラットフォーム全体にまたがり、リソース監視やエラー監視、ボトルネック監視を行っている。

中でも集中的に監視しているのがデータベースの部分だ。フロントエンドのWebとビジネスロジックを処理するミドルウェア、データベースからなる三層構造の中で、あえてデータベースにボトルネックを寄せる設計とすることで、変動するトランザクションに応じてシステム全体の性能を柔軟に高められる仕組みにしている。

「サーバー間のネットワークは多重化し、かつその多重度を変更できるようにしています。多重度を上げることによってネットワークにはストレスがかからず、データベースに負荷がかかるようなデザインです。この基幹データベースの負荷をZabbixを用いて徹底的に監視し、負荷が高まった場合には即座に拡張することで、システム全体の性能を高めています」(平山氏)。

Zabbixで収集したデータが経営会議の判断材料に

個人投資家の増加などを背景に、インターネット証券の利用者はますます増加している。楽天証券もその波を受け、性能とキャパシティの向上に取り組んでいる。中核となるデータベースサーバに「Oracle Exadata」を採用したのもその1つだ。

「ハードウェア自体が最新のものなので、処理性能は約10倍に向上しました。当初はExadata 2台構成でしたが、現在ではさらに拡張して本番環境で6台が動作し、それでも負荷が高まった際には開発用の1台もつなげて処理できるように設計しています」(平山氏)。こうした対応が可能なのも、日頃の監視あってこそだ。

毎週行われる経営会議には、Zabbixで収集したデータを元に、「その週の取引量とレスポンスタイム、コンピュータリソースのぶれをヒストリカルに出して、問題の有無をフォローアップしています」と平山氏は言う。システムの稼働状況が同社の競争力に直結している。

「こうしたデータを単体で見るのではなく、組み合わせて意味付けをして、評価できる仕組みとし、さらにそれを自動化してリアルタイムに見せる形にまでもっていければいいですね。情報システム部内だけでなく、経営層やお客様とも共有し、できるだけタイムリーに配信できる仕掛けができればと考えています。その意味でも、APIが提供されているZabbixはさまざまに活用できると考えています」と平山氏。ますますダイナミックに動く証券市場の中で、安定したサービスの提供に期待したい。

システム概要

Zabbixサーバー数: 2台
冗長化: あり
監視対象機器数: 1,382台
トリガー数: 5,328
アイテム数: 57,311

楽天証券株式会社

楽天証券は、日本最大級のインターネット・ショッピングモールを運営する楽天グループのインターネット証券です。1999年6月に日本初のオンライン専業証券としてサービスを開始いたしました。

楽天証券はオリジナルのトレーディングツール「マーケットスピード」をリリースし、日本で初めて個人向けに、リアルタイムで自動更新する株価の配信を開始するなど、常にお客様の立場に立ったサービスの提供に努めてまいりました。また、楽天市場でのショッピングにも使えるポイントプログラムを導入し、楽天銀行や楽天カードと連携した各種金融サービスを提供するなど、楽天グループの強みを最大限に活かしたサービスや商品を提供しております。

本社
東京都品川区
設立:
1999年
従業員数:
269名
(2014年5月31日現在)
資本金:
7,495百万円
www.rakuten-sec.co.jp

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