Zabbix Cloudの主な違い

はじめに

Zabbix Cloud は、ユーザーがクラウド上で自己完結型の Zabbix インスタンス(クラウドノード)を実行できるクラウドベースのプラットフォームです。

通常のオンプレミスの Zabbix 導入と比較すると、次のようになります。

  • インストールや保守は不要です。
  • クラウドノードは Zabbix によって完全に管理されます。
  • クラウドノードは数分以内に起動できます。

このサービスは従量課金制で提供されます(無料トライアルも利用できます)。

比較表

オンプレミスの Zabbix インストールとクラウドノードでは、多くの機能が共通していますが、違いもあります。
以下に概要の比較表を示します。
以降のセクションでは、選択した項目について詳しく説明します。

機能 / 項目 Zabbix Cloud Zabbix オンプレミス
リリースサイクル LTS リリースに合わせて更新 Zabbix のバージョン(安定版、ベータ版、カスタムビルド)を選択
使いやすさ Zabbix が完全に管理する、すぐに使用できるプラットフォーム インストール、設定、メンテナンスが必要
脆弱性へのパッチ適用 OS/Zabbix へのパッチ適用を自動化 ユーザーが手動でパッチを適用
HTTPS 証明書 すぐに使用できる有効な証明書(Let's Encrypt ではない) デフォルトでは自己署名証明書(Let's Encrypt またはその他の CA を設定可能)
DB パフォーマンス
(INSERT/UPDATE/SELECT)
最大速度を実現する自動パーティショニング。長時間実行される DELETE なし パーティショニングとクリーンアップを手動で実施(長時間の DELETE トランザクションが発生する可能性あり)
パフォーマンスチューニング Zabbix Cloud チームによる事前チューニング(変更履歴なし) チューニングパラメータを完全に可視化し、制御可能
ファイアウォール制御 Zabbix Cloud チームが管理。GUI/トラッパーポートはパブリックに公開されない ファイアウォールルールとポート公開を完全に制御可能
ポート 25 の送信トラフィック スパムや不正利用を防ぐため、デフォルトでブロック。代わりに SMTP ポート 587 または 465 を使用 Zabbix による制限なし。ネットワークおよびホスティングプロバイダーに依存
DB の分離と保護 高度に分離され、DB/SSH への直接アクセスなし ネットワークおよびホストの セキュリティに依存
高可用性(HA) 高可用性のクラウドプラットフォーム上で稼働
データ収集の耐障害性を高めるために Zabbix プロキシを使用可能
ユーザーが HA を管理
SNMP トラップ 専用プロキシ経由のみ(HA/負荷分散されたトラップレシーバーなし) 直接またはプロキシ経由。HA/負荷分散が可能
SNMP ポーリング プロキシなしでは困難(各デバイスに NAT/カスタムポートが必要) ネイティブの SNMP ポーリング。プロキシは任意
保存期間の設定 履歴/トレンド/監査は UI 経由のみ(API または設定ファイルは使用不可) Zabbix サーバー設定ファイルまたは APIで設定可能
カスタムスクリプト AlertScriptsPath、ExternalScripts、Webインターフェースおよびコミュニティモジュールはサポート対象外 完全にサポート(スクリプトのパス、モジュール、インテグレーション)
ODBC 監視 PostgreSQL のみ(ドライバー {postgresql})。MariaDB プラグインはプレースホルダーとして存在 PostgreSQL、MySQL、Oracle などの ODBC を完全に設定可能
ODBC 呼び出しの制限 不可(StartODBCPollers=1のみ)。負荷の高い同期クエリが他の処理をブロック ポーラー数とスケジューリングを完全に調整可能
SAML 証明書のアップロード サポート対象外 UI または API 経由でサポート
スケジュールレポート 独自の Email メディアを作成する必要あり(スクリプトメディアはサポート対象外) スクリプトメディアと Email メディアの両方をすぐに使用可能
アクティブチェック用のホストインターフェース プラットフォームが発行する IP アドレス(自動的に作成) インターフェースはユーザーが管理。IP はユーザーが制御

機能の違い

SNMPトラップ

SNMPトラップ は、専用のZabbixプロキシ経由でのみサポートされています。
SNMPトラップの監視が必要な場合、SNMPトラップは単一のIPアドレスに送信する必要があるため、プロキシの自動負荷分散または高可用性は使用できません。

SNMPポーリング

プロキシを使用しない場合、SNMPポーリングでは各デバイスをNATおよびカスタムポート経由で公開する必要があります。

保持設定

クラウドでは、履歴、トレンド、監査ログの保持期間はWebインターフェースからのみ設定できます。 これらの設定は、zabbix_server.conf やAPIでは設定できません。

アイテムごとの履歴保持期間の手動上書きはサポートされていません(パーティショニングはグローバルに制御されます)。 クラウドノードのURLは、オンプレミス環境のインストールと同じクエリパラメータを受け付けません。

カスタムスクリプト

以下のカスタムスクリプトタイプは、Zabbix Cloudではサポートされていません。

  • アラートスクリプト (AlertScriptsPath)
  • 外部スクリプト (ExternalScripts)
  • Zabbixサーバー上のWebインターフェーススクリプト

コミュニティによって開発されたWebインターフェースモジュールはインストールできません。

ODBC監視

Zabbix Cloud は、PostgreSQL に対してのみ ODBC監視 をサポートしています。 公式の Zabbix ODBCテンプレート を使用し、テンプレート内で次のように接続文字列を定義してください。

Driver={postgresql}

MariaDB プラグインもインストールされていますが、現在は機能していません。 使用する場合は、次のように定義してください。

Driver={mysql}

Zabbix Cloud において、Oracle MySQL 8.0 で動作する既知の設定はありません。 単純なクエリ(SELECT 1 など)は成功する場合がありますが、より複雑なクエリは SQL_ERROR を返します。

ODBC 呼び出しを制限することはできません(StartODBCPollers=1 のみ)。 負荷の高い同期レポート処理はパフォーマンスに影響する可能性があり、同時に実行できる SELECT は 1 つだけです。

インフラストラクチャへのアクセス

Zabbix Cloud では、基盤となるノードへの SSH アクセスは提供されず、データベースへの直接接続(たとえばポート 3306 への接続)も許可されません。
すべての設定、監視、およびトラブルシューティング作業は、クラウド UI または API を介して実施する必要があり、これにより OS およびデータベース層は分離され、安全に保たれます。

ポート 25 の送信トラフィック

スパムや不正利用を防止するため、Zabbix Cloud ノードから TCP ポート 25 への送信接続は、デフォルトでブロックされています。 これは次に影響します。

  • ポート 25 の SMTP サーバーを介して送信する Email メディアタイプ。 新しい Email メディアタイプの SMTP server port はデフォルトで 25 に設定されているため、SMTP サーバーがサポートしている設定に応じて、587(Connection security を STARTTLS に設定)または 465(SSL/TLS)に変更してください。 Office365 relay メールプロバイダーは、Microsoft のリレエンドポイントにポート 25 で接続するため、使用できません。
  • Email メディアタイプを必要とする スケジュールレポート。
  • net.tcp.service[smtp] シンプルチェック や ネットワークディスカバリ ルールの SMTP チェックなど、クラウドノード自体がポート 25 に対して実行するチェック。 これらのチェックでは、SMTP サービスが実行中であっても停止していると報告されます。このようなチェックは、代わりに独自ネットワーク内の Zabbix プロキシまたは Zabbix エージェントを介して実行してください。

デフォルトの Cloud Email メディアタイプは影響を受けません。

アクティブチェックインターフェース

クラウド内のアクティブチェックでは、オンプレミスネットワークとは無関係なIPを持つホストインターフェースが自動的に作成されます。
デフォルトでは、このIPは外部IPである場合があります。
一貫性を保つため、作成後にホストインターフェースを手動で削除または調整できます。

SAML証明書のアップロード

SAML認証 は、暗号化されていない、または署名されていないSAMLメッセージを受け入れるプロバイダーがほとんどないため、サポートされていません。

スケジュールレポート

デフォルトの Cloud Email メディアタイプはスクリプトトランスポートを使用するため、スケジュールレポートには使用できません。 レポートをメールで送信するには、次の手順を実行します。

  1. 新しいEmailメディアタイプを作成します。
  2. ユーザー設定 > メディア で、ユーザーにメールメディアを割り当てます。
  3. スケジュールレポートの設定時に、そのメディアタイプを選択します。

このメディアタイプの SMTPサーバーポート にはポート25を使用しないでください。ポート25の送信トラフィックを参照してください。