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4 Zabbixプロキシ

概要

Zabbixプロキシは、1つまたは複数の監視対象デバイスから監視データを収集し、その情報をZabbixサーバーに送信するプロセスであり、本質的にはサーバーの代理として機能します。 収集されたすべてのデータはローカルにバッファリングされ、その後プロキシが属するZabbixサーバーに転送されます。

プロキシの導入は必須ではありませんが、単一のZabbixサーバーの負荷を分散するために非常に有益です。 プロキシのみがデータを収集する場合、サーバーでの処理はCPUやディスクI/Oの負荷が少なくなります。

Zabbixプロキシは、リモート拠点、支店、ローカル管理者のいないネットワークの集中監視に最適なソリューションです。

Zabbixプロキシには、別途データベースが必要です。

Zabbixプロキシでサポートされているデータベースは、SQLite、MySQL、PostgreSQLです。

参考: 分散環境でのプロキシの使用

プロキシの起動

パッケージとしてインストールした場合

Zabbixプロキシはデーモンプロセスとして実行されます。 プロキシは次のコマンドで起動できます:

systemctl start zabbix-proxy

これはほとんどのGNU/Linuxシステムで動作します。 他のシステムでは、次のコマンドを実行する必要があるかもしれません:

/etc/init.d/zabbix-proxy start

同様に、Zabbixプロキシの停止/再起動/ステータス表示には、以下のコマンドを使用します:

systemctl stop zabbix-proxy
       systemctl restart zabbix-proxy
       systemctl status zabbix-proxy
手動で起動する

上記でうまくいかない場合は、手動で起動する必要があります。 zabbix_proxy バイナリのパスを探して、以下を実行します:

zabbix_proxy

Zabbixプロキシでは、以下のコマンドラインパラメータが使用できます:

-c --config <file>              設定ファイルへのパス
       -f --foreground                 フォアグラウンドでZabbixプロキシを実行
       -R --runtime-control <option>   管理機能を実行
       -T --test-config                設定ファイルを検証して終了
       -h --help                       このヘルプを表示
       -V --version                    バージョン番号を表示

コマンドラインパラメータを指定してZabbixプロキシを起動する例:

zabbix_proxy -c /usr/local/etc/zabbix_proxy.conf
       zabbix_proxy --help
       zabbix_proxy -V
ランタイム制御

ランタイム制御オプション:

オプション 説明 ターゲット
config_cache_reload 設定キャッシュをリロードします。キャッシュが現在ロード中の場合は無視されます。
アクティブZabbixプロキシはZabbixサーバーに接続し、設定データを要求します。
パッシブZabbixプロキシは、サーバーがプロキシに接続した次のタイミングでZabbixサーバーから設定データを要求します。
history_cache_clear=target IDで指定されたアイテムのヒストリーキャッシュをクリアします。
アイテムのすべての値に影響しますが、最初と最後の値は除きます。
target - アイテムのID
diaginfo[=<section>] プロキシのログファイルに診断情報を収集します。 historycache - ヒストリーキャッシュの統計情報
preprocessing - 前処理マネージャの統計情報
locks - ミューテックスのリスト(BSDシステムでは空)
snmp_cache_reload SNMPキャッシュをリロードします — すべてのホストのSNMPエンジンプロパティ(engine time、engine boots、engine id、credentials)をクリアします。SNMPの問題をトラブルシューティングする際に、グローバルキャッシュのクリアを強制するために使用します。
housekeeper_execute ハウスキーピング手順を開始します。ハウスキーピング手順が現在進行中の場合は無視されます。
log_level_increase[=<target>] ログレベルを上げます。ターゲットが指定されていない場合はすべてのプロセスに影響します。
BSDシステムではサポートされていません。
process type - 指定したタイプのすべてのプロセス(例: poller)
すべてのプロキシプロセスタイプを参照してください。
process type,N - プロセスタイプと番号(例: poller,3)
pid - プロセスID(1~65535)。より大きな値の場合は、ターゲットを 'process type,N' として指定してください。
log_level_decrease[=<target>] ログレベルを下げます。ターゲットが指定されていない場合はすべてのプロセスに影響します。
BSDシステムではサポートされていません。
prof_enable[=<target>] プロファイリングを有効にします。
ターゲットが指定されていない場合はすべてのプロセスに影響します。
有効なプロファイリングは、関数名ごとのすべてのrwlock/mutexの詳細を提供します。
process type - 指定したタイプのすべてのプロセス(例: history syncer)
すべてのプロキシプロセスタイプを参照してください。
process type,N - プロセスタイプと番号(例: history syncer,1)
pid - プロセスID(1~65535)。より大きな値の場合は、ターゲットを 'process type,N' として指定してください。
scope - rwlock, mutex, processing はプロセスタイプと番号(例: history syncer,1,processing)またはタイプのすべてのプロセス(例: history syncer,rwlock)で使用できます
prof_disable[=<target>] プロファイリングを無効にします。
ターゲットが指定されていない場合はすべてのプロセスに影響します。
process type - 指定したタイプのすべてのプロセス(例: history syncer)
すべてのプロキシプロセスタイプを参照してください。
process type,N - プロセスタイプと番号(例: history syncer,1)
pid - プロセスID(1~65535)。より大きな値の場合は、ターゲットを 'process type,N' として指定してください。

プロキシ設定キャッシュをリロードするためのランタイム制御の使用例:

zabbix_proxy -c /usr/local/etc/zabbix_proxy.conf -R config_cache_reload

アイテムのヒストリーキャッシュをクリアするためのランタイム制御の使用例:

zabbix_proxy -c /usr/local/etc/zabbix_proxy.conf -R history_cache_clear=42243

診断情報を収集するためのランタイム制御の使用例:

# プロキシログファイルに利用可能なすべての診断情報を収集:
       zabbix_proxy -R diaginfo
       
       # プロキシログファイルにヒストリーキャッシュの統計情報を収集:
       zabbix_proxy -R diaginfo=historycache

SNMPキャッシュをリロードするためのランタイム制御の使用例:

zabbix_proxy -R snmp_cache_reload

SNMPv3インターフェースがZabbix UI経由で更新された場合、ほとんどの場合Zabbixはそのインターフェースの新しいSNMPv3認証情報を自動的にリロードします。認証情報の変更後もポーリングが失敗する場合(たとえば、engineBoots/engineIDの不整合やRFC非準拠デバイスなど)、またはトラブルシューティングのためにグローバルなSNMPキャッシュのクリアを強制する必要がある場合のみ、-R snmp_cache_reload を使用してください。

ハウスキーパーの実行をトリガーするためのランタイム制御の使用例:

zabbix_proxy -c /usr/local/etc/zabbix_proxy.conf -R housekeeper_execute

ログレベルを変更するためのランタイム制御の使用例:

# すべてのプロセスのログレベルを上げる:
       zabbix_proxy -c /usr/local/etc/zabbix_proxy.conf -R log_level_increase
       
       # 2番目のポーラープロセスのログレベルを上げる:
       zabbix_proxy -c /usr/local/etc/zabbix_proxy.conf -R log_level_increase=poller,2
       
       # PID 1234のプロセスのログレベルを上げる:
       zabbix_proxy -c /usr/local/etc/zabbix_proxy.conf -R log_level_increase=1234
       
       # すべてのhttp pollerプロセスのログレベルを下げる:
       zabbix_proxy -c /usr/local/etc/zabbix_proxy.conf -R log_level_decrease="http poller"
プロセスユーザー

Zabbixプロキシは、非rootユーザーとして実行するように設計されています。 起動した非rootユーザーとして実行されます。 したがって、プロキシは任意の非rootユーザーとして問題なく実行できます。

'root'として実行しようとすると、ハードコードされた'zabbix'ユーザーに切り替わります。このユーザーはシステム上に存在する必要があります。 プロキシを'root'として実行するには、プロキシの設定ファイルで'AllowRoot'パラメータを適切に変更する必要があります。

設定ファイル

zabbix_proxyの設定の詳細については、設定ファイルのオプションを参照してください。

プロキシプロセスタイプとスレッド

  • agent poller - ワーカースレッドを持つパッシブチェック用の非同期ポーラープロセス
  • availability manager - ホストの可用性更新用プロセス
  • browser poller - ブラウザアイテムチェック用ポーラー
  • configuration syncer - 設定データのインメモリキャッシュ管理プロセス
  • data sender - プロキシデータ送信プロセス
  • discovery manager - デバイス検出用のマネージャープロセス
  • discovery worker - ディスカバリーマネージャからの検出タスクを処理するプロセス
  • history syncer - ヒストリDB書き込みプロセス
  • housekeeper - 古い履歴データの削除プロセス
  • http agent poller - ワーカースレッドを持つHTTPチェック用の非同期ポーラープロセス
  • http poller - Web監視用ポーラー
  • icmp pinger - icmppingチェック用ポーラー
  • internal poller - 内部チェック用ポーラー
  • ipmi manager - IPMIポーラーマネージャー
  • ipmi poller - IPMIチェック用ポーラー
  • java poller - Javaチェック用ポーラー
  • odbc poller - ODBCチェック用ポーラー
  • poller - パッシブチェック用の通常のポーラー
  • preprocessing manager - 前処理ワーカースレッドを持つ前処理タスクのマネージャー
  • preprocessing worker - データ前処理用スレッド
  • self-monitoring - 内部サーバ統計収集プロセス
  • snmp poller - SNMPチェック用のワーカースレッドを持つ非同期ポーラープロセス(walk[OID]およびget[OID]アイテムのみ)
  • snmp trapper - SNMPトラップ用トラッパー
  • task manager - 他のコンポーネントから要求されたタスクのリモート実行用プロセス(例:問題のクローズ、問題の確認、アイテム値の即時チェック、リモートコマンド機能)
  • trapper - アクティブチェック、トラップ、プロキシ通信用トラッパー
  • unreachable poller - 到達不能デバイス用ポーラー
  • vmware collector - VMwareサービスからのデータ収集を担当するVMwareデータコレクター

これらのプロセスタイプはプロキシのログファイルで確認できます。

プロキシのログファイルは、ファイル所有者のみが読み書きできる権限で作成されます。さらに、所有グループも読み取り可能です。他のすべての権限は拒否されます。

さまざまなタイプのZabbixプロキシプロセスは、zabbix[process,<type>,<mode>,<state>] 内部アイテムを使用して監視できます。

ヒストリーシンカーのトランザクション統計

history syncerプロセスのタイトルには、history syncerトランザクションの詳細な統計情報が表示されます。

205276 ?        S      0:00  zabbix_proxy: history syncer #1 [processed 1 values in 0.001179 (0.001167,0.000000) sec, idle 1 sec]
       205277 ?        S      0:00  zabbix_proxy: history syncer #2 [processed 0 values in 0.000022 (0.000000,0.000000) sec, idle 1 sec]

"processed...in N (<timings>) sec"のタイミングは以下の通りです:

  • アイテムの値をデータベースに書き込むのにかかった時間
  • アイテムデータ(状態、エラー)の更新にかかった時間

サポートされているプラットフォーム

Zabbixプロキシは、Zabbixサーバーと同じサポートされているプラットフォームで動作します。

メモリバッファ

メモリバッファは、新しいデータ(アイテム値、ネットワークディスカバリ、ホストの自動登録)をバッファに保存し、データベースにアクセスせずにZabbixサーバーにアップロードすることを可能にします。 メモリバッファは、Zabbix 7.0からプロキシに導入されました。

Zabbix 7.0以前のインストールでは、収集されたデータはZabbixサーバーにアップロードする前にデータベースに保存されていました。 これらのインストールでは、Zabbix 7.0にアップグレードした後もデフォルトの動作として残ります。

最適なパフォーマンスのためには、プロキシでメモリバッファの使用を設定することを推奨します。 これは、ProxyBufferModeの値を「disk」(既存インストールのハードコードされたデフォルト)から「hybrid」(推奨)または「memory」に変更することで可能です。 また、メモリバッファサイズ(ProxyMemoryBufferSizeパラメータ)を設定する必要があります。

ハイブリッドモードでは、プロキシが停止した場合、バッファがいっぱいになった場合、またはデータが古くなった場合に、未送信データをデータベースにフラッシュすることで、バッファがデータ損失から保護されます。 すべての値がデータベースにフラッシュされると、プロキシはメモリバッファの使用に戻ります。

メモリモードでは、メモリバッファが使用されますが、データ損失に対する保護はありません。 プロキシが停止した場合やメモリがいっぱいになった場合、未送信データは破棄されます。

ハイブリッドモード(ProxyBufferMode=hybrid)は、Zabbix 7.0以降のすべての新規インストールに適用されます。

ProxyMemoryBufferSizeProxyMemoryBufferAgeなどの追加パラメータは、それぞれメモリバッファのサイズとバッファ内のデータの最大保持期間を定義します。

注意:設定が矛盾している場合、プロキシはエラーを出力して起動に失敗します。例えば、以下の場合です。

  • ProxyBufferModeが「hybrid」または「memory」に設定されていて、ProxyMemoryBufferSizeが「0」の場合
  • ProxyBufferModeが「hybrid」または「memory」に設定されていて、ProxyLocalBufferが「0」でない場合

ロケール

プロキシが一部のテキストアイテムを正しく解釈できるように、UTF-8ロケールが必要であることに注意してください。 ほとんどの最新のUnix系システムではデフォルトでUTF-8ロケールが設定されていますが、システムによっては明示的に設定する必要がある場合があります。

メンテナンス中のキューの計算

Zabbixプロキシはメンテナンス期間を認識しません。詳細はメンテナンス中のキューの計算を参照してください。